シート(野口装美改良モノ)
 
  長距離走行で切っても切り離せないのが尻痛。どんなに尻に優しいと謳われたシートでも、痛くなるものは痛くなるので御座います。 
  カブのシートもシート形状はなかなかいいと思うのですが、如何せんビジネス用途で短距離しか乗らない事を前提に作られているのは当然でして(ついでに消耗品として、それほど耐久性があるとも思えないし、ウレタンもたいしたものではないだろう)、その為尻痛は必ず起こります。でも、ノーマルのシートのままで超長距離ツーリングしてらっしゃる方は大勢いるんですよね・・・ 
  それと、その消耗品的シートですから劣化も早い、シート皮が破れて水が染み込むようになるとウレタンの衝撃吸収能力も格段に落ちますから(ウレタンはある程度硬度があったほうが疲れが少ないが、元々やわらかいウレタンなのに水を吸うと益々ふにゃふにゃになる)、尻に掛かる負担もまた大きなものになります。劣化したシートでは益々長距離走行に向かないです。 
  でも、何度も言うようにわたしゃ軟弱で贅沢言いたい放題の人間、ちょっとでも不満があるとブツブツ文句言っちまうんですわ。しかし単純でもありますので、もうこれ以上無いって物でそういう結果になれば諦めもつくってものです。 
 
  と言うわけで、私のシートも例に漏れず激しい劣化が進んでおりまして(2個1の時点から)、シート皮破れまくり、雨水吸いまくり。新品のシートと比べてもウレタンの硬度に不満・不安がありまして、シートの新調を考えたのであります。なにしろ30kmの行程でも10km走ったら尻痛発症腰痛再発、参りました。ちょっと乗っただけでもすぐ尻が痛くなるXR400Rのシートよりも痛くなるのが早いです。 
  既に新品のシートは購入済だったので(2年位前)、ただフツーに新品に交換すればそれでも相当な環境改善なんでしょうけど、いっそのことラリーに適したシートを作ってしまう事にしたのであります。将来のことを考えるとシートの使いまわしもできるし、何よりラリーに適したシートとして作れば否応無しにラリーマシンに乗る喜びを味わえるだろう、と。気分的な問題が大きいかも。 
 
  さて、シートの改良をしてくれるメーカは、バイク雑誌などを見ていると多数あります。それに、シートの改造内容も表皮張替だけのものからウレタンの内容改善まで含んだ手の込んだものまで様様。今回はラリー仕様を前提とした改良内容なので、その道の改良に強いメーカである野口装美に注文を出したのであります。一言「ラリーに出るのに最適なカブのシート作って」と。 
  この野口装美、ラリー仕様シートの改良の道では相当有名でして、日本人のパリダカや国内外有名どころラリーの参加車輌のシートと言えば野口というくらいのところ、それだけ実績もあり腕もあり、なんでしょう(何しろそれほど縁が無いところなのでよく知らない)。 
  注文の内容は、表皮は2種類、座面はバックスキンの黒で座面以外はビニルレザー(ついでに縫い目はノーマルの様に、と)、ウレタンは衝撃吸収剤の新素材(らしい)タキテックフォーム(とやら)を挿入の二層構造、といったもの。表皮以外はパリダカ参加車輌につくシートと大差なし(表皮は本皮バックスキンには出来なかった、水に弱いらしいから)。言うなれば、 
 
シートだけならパリダカに出られる。
 
のでございます。昔のパリダカにはべスパなんてスクーターが出てたくらいだから、カブでも・・・現代の高速化したパリダカには出場は無理ですな。 
 
 
  これがノーマルの、と言うか年季が入りすぎたシート。フラッシュで撮影したんですけど、表皮が長年の磨耗でつるっつるになってテカッております。こうなると表皮のグリップは殆ど期待できません、滑って気持ちが悪いです。 
  なんですか、シートって滑ると気持ちが悪いんですよ。かなり短時間しか着座しない新聞配達でも、新車の状態でビニルが掛かっているまま乗って配達したら、滑って滑って相当に気持ちが悪くなったことがあります。それが、ビニルが無くたってそんな状況になるのだから堪ったものでは御座いません。 
  さらに長距離走行となるわけですからその気持ちの悪さは・・・計り知れません、ヘルメットの中で発狂する事となるでしょう。
  そのシートの反対側。大穴あいているものですから黒いガムテープでカムフラージュ補修済み。元々は赤いガムテープで補修してあったので、それに比べれば全然見た目の方はましでしょう。 
  でも見た目が増しになっても内容物であるウレタンが腐っていたのでは意味が無いですね、その穴の部分は殆ど朽ち果てて落ちてしまっている始末、補修も相当に時が経ってから(やっぱり2年くらい)行っているので、雨水も吸いまくっているのです。ウレタンがウレタンの体をなさないほど酷い事になっています。 
  新品のシートを持っていたのだからとっとと交換すればよかったのですけど、何しろ頻繁に乗るようになったのは、実は2001年の6月になってからなのでそのまま放置しつづけたので御座いました・・・
  と言うわけで、新品シートを野口装美に送ったのが7月下旬、盆前には改良が終わって返送されてきました、納品・請求書とともに・・・ 
  箱を開けて私は感動した・・・イメージ通りだったから。
  見事に縫い目はノーマルの通り。それに両表皮とも黒だから遠目にはノーマルのシート区別がつかないときてます。しかし、私の車輌改造のコンセプトはあくまで見た目はノーマルなので、そう外見が変化するような事は極力避けたい、だからこそ黒表皮にしたんですけどね。 
  座面のバックスキンは、言うなれば鮫皮を300%くらいに拡大した、と言ったイメージでしょうか(分かりにくくてすみません)、とにかくざらざらしています。これじゃ滑るって事は無いでしょうね。というかグリップがよすぎるかもしれない。
  燦然と輝く「NOGUCHI」のロゴ。「HONDA」のロゴが入るところに入れてもらいました。一種のステータスシンボル(?)。これで、見る人が見るとすごいシート、と言う事になります。
  それを装着したところ。なんてぇか、これまでへたったシートに座り続けていたもんで、こしがあるこのシートは一瞬「硬い」と感じ、足つきも悪くなのですが、じわじわと尻の形に慣れてくる、と言った感じで御座います。いわゆるフィット感最高?ですかね。 
  しかし、装着したのが8月31日・・・ラリー前日の事で数百mしか乗ってませんで、使用感なんかは全然分からんので御座います。もうぶっつけ本番で試験。
 
で。お値段は・・・47,250円(税込み)。・・・値段でもパリダカに出られそうです(泣)。 
 
装備品に掛かった費用・・・ 
1)HID一式  73,290円 
2)バッテリー  7,329円 
3)シート改良  47,250円 
合計  127,869円    もうすぐカブ1台買えそうです。 

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